HIS


HISは細野晴臣、忌野清志郎、坂本冬美の3人による音楽ユニットである。
ユニット名は3人の名前の頭文字を並べたもの。

1990年4月28日、大阪城野音で開催されたイベント「ロックの生まれた日」で結成されたSMIがその前身である。
このSMIをベースにアルバムを作ることになり、細野晴臣がプロデューサー兼メンバーで参加。
名作「日本の人」を発表する。

朝日新聞デジタルに掲載された写真


結成時のエピソードが忌野清志郎の著書「忌野旅日記」に記載されている。
以下一部引用。

(イベント前)
そこで、オレは、「今度東芝EMlの企画イベントで〝SMl(坂本冬美・三宅伸治・イマーノ)〟というバンドをやるんだよ」って、話したんだ。そうしたら、急に、細野さんはブキミにキョーミを湧かせてさ、「ボク、冬美ちゃんのコブシの大ファンなんですよ」と、言った。じゃ、細野さんも一緒にでない?って、さそったんだけど細野さんシャイだからさ、「いやぁ、いやぁ」なんて遠慮しちゃって、結局、リハーサルに来ることになったんだ。

(アルバムレコーディング時)
スタジオに冬美ちゃんが登場すると、オレと細野さんと二人でウキウキしちゃって、若い娘が来た、なんてさ。細野さんが高揚したとこはそーそー見たことないが、冬美ちゃんにはウキウキしてるんだよ。歌人れすると「いーね」とか「サイコー」とか「冬美ちゃんは歌ウマいねぇ」とか、その3フレーズなんだけど、あの低音でウレシそ一に言うんだよ。オレもつられて「いーよー」とか「いーねー」とか「いーぞー」とか3フレーズでさ。冬美ちゃんを前にすると、オレと細野さんは、なーんかテレちゃうんだ。オレまでシャイになっちゃったよ。

忌野旅日記から 忌野旅日記から


1991年7月19日アルバム「日本の人」リリース

「日本の人」ジャケット
収録曲
1.HISのテーマ(作詞・作曲 HIS)
2.パープル・ヘイズ音頭(作詞・作曲 ジミ・ヘンドリックス、日本語詞 忌野清志郎、春日博文)
3.夜空の誓い(作詞・作曲 忌野清志郎、中曽根章友)
4.逢いたくて逢いたくて(作詞 岩谷時子、作曲 宮川泰)
5.渡り鳥(作詞・作曲 忌野清志郎、小林和生)
6.500マイル(作詞・作曲 ヘイディ・ウェスト、日本語詞 忌野清志郎)
7.恋人はいない(作詞・作曲 忌野清志郎)
8.おやすみ もうすぐ逢える(作詞・作曲 忌野清志郎)
9.スキー・スキー(スキーなの)(作詞・作曲 忌野清志郎)
10.恋のチュンガ(作詞・作曲 ペレス・プラード、日本語詞 水島哲)
11.ヤングBee(作詞・作曲 忌野清志郎)
12.セラピー(作詞・作曲 忌野清志郎)
13.アンド・アイ・ラヴ・ハー(作詞・作曲 レノン=マッカートニー、日本語詞 忌野清志郎)
14.日本の人(作詞 忌野清志郎、作曲 細野晴臣)


1991年6月28日ファーストシングル「夜空の誓い」リリース
パルコのCMソングとして、アルバム 「日本の人」から先行シングルカットされた。

「夜空の誓い」ジャケット 「夜空の誓い」ジャケット
心斎橋パルコのポスター!

パルコポスター
TV CM
コピーライターの児島令子さんのコラムで紹介されている。
「うちの娘(こ)、来てますか?」というコピーは児島さんによるものだそうだ。
貴重な映像です。



渋谷CLUB QUATTRO リフレッシュオープンのポスター

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1991年11月27日セカンドシングル「日本の人」リリース

シングルジャケット


「ROCK'N ROLL NEWSMAKER」1991年9月2日版

12ページにわたる写真とインタビュー記事。手をつないだ二人の照れてる感じが本当の高校生みたいである。
裏面にはアルバム「日本の人」の広告。ここには「ファースト&ラストアルバム」との記載があり、その言葉どおりHISとして発表したアルバムはこの1作のみ。

NEWSMAKERから NEWSMAKERから
NEWSMAKERから


『ROCKIN'ON JAPAN』(ロッキング・オン・ジャパン)1991年8月号

細野晴臣、忌野清志郎、坂本冬美の3人のインタビューが個別に行われ、HIS結成にまつわる話、各自の音楽活動に関する話が語られている。

忙しい坂本冬美とのコミュニケーションのため、清志郎から坂本冬美宅にFAX本体が届けられ、FAXで会話をしたそうである。
会話自体はたわいのない近況のやりとりだったらしいが・・・(おそらく忙しい坂本冬美を気遣っての清志郎の心配りだったのではないか!?)
清志郎からしか届かないFAX!なんてすごいんだ!
アルバム「日本の人」のレコーディングでは、坂本冬美も作詞したがボツになったとか。
小泉今日子みたいにポップに歌いたいと臨んだレコーディングでは、コブシを回すことを歓迎されたそうだ。

ROCKIN'ON JAPANから
ROCKIN'ON JAPANから
ROCKIN'ON JAPANから
ROCKIN'ON JAPANから


「ぴあmusic complex」1991年7月3日版

13ページに亘るインタビュー記事である。インタビューは1991年5月30日に行われた。
「逢いたくて逢いたくて」のエピソードを細野が語っている。
「でも冬美さんも凄いよ。ボーカルのテイクをいっぱい録ったんですが、あの曲は最終的にそのほとんどを重ねて録音してるんです。ひとり5重唱くらいかな。でも、ボーカルがズレないんです。それだけ、毎回、同じように歌えるんだね。凄い歌手だと思ったな。」
それに対して冬美は、「あ、そうなんですか。私、2重唱くらいかと思ってたけど。」

「パープル・ヘイズ音頭」はSMIからのレパートリーだが、最初坂本冬美がオリジナルでやってはみたのもの、英語だし、早すぎて「パーヘイ」としか歌えなかった。それで日本語詞にし、アレンジが音頭になったそうである。

ぴあmusic complexから
ぴあmusic complexから
ぴあmusic complexから


2005年7月27日マキシシングル「Oh, My Love~ラジオから愛のうた~」リリース

シングルジャケット

名義は坂本冬美であるが、作詞:忌野清志郎、作曲:細野晴臣、歌:坂本冬美という、実質HISの再結成と言えるものである。
カップリング曲は同メンバーによる名曲「幸せハッピー」。

これはNHKがラジオ放送を始めて80周年の記念として、「こんにちは!80ちゃんです」のテーマソングとして制作された。
アルバム「日本の人」から14年ぶりの復活であるが、名義は坂本冬美のシングル盤となっている。
なぜHIS名義でなかったのかは不明。
清志郎は「アルバムも作って、全国ツアーも!」と提案したというが、これが後、大坂城ホールでの 新・ナニワサリバンショーでのHISライブにつながる。
残念ながら、新アルバムの実現には至らなかった。
もう二度とかなわない夢である。

これに先立つこと4ヶ月前の「冬美便り」に「HIS復活?」との題名で、以下が発表されていた。
「この四月から始まる、NHKラジオ「こんにちは80ちゃん」のテーマソングを歌う事になりました。忌野清志郎さん作詞、細野晴臣さん作曲です。そう、あのHISのメンバーがそろいました!今日、番組でお披露目します。少しフライング気味の発表でーす。」


2005年8月15日NHK FM放送「ダブルDJショー」忌野清志郎と細野晴臣とのラジオ特別番組。

坂本冬美は電話でゲスト出演。マネージャーが別の仕事を入れてしまって残念ながらスタジオには行けなかったそうである。

トークの内容は、「Oh, My Love~ラジオから愛のうた~」の公開レコーディングの話。
3人でツアーをやりたいねと。
坂本冬美はセーラー服をがんばって着てみますと宣言。
「幸せハッピー」の合いの手には細野のお孫さん(当時5歳)が参加しているそうである。

スケートリンクでのジャケ写を撮った時、マネージャーが坂本冬美に叱られていたとか。
清志郎曰く、その叱り方が演歌っぽくてカッコ良かったそうである。どんな叱り方なんだろう?

あまり面識のなかった清志郎と細野がローリングストーンズのコンサートに一緒に行った時、「今度冬美ちゃんと一緒にやるんだ」と話をしたそうである。コブシに興味があった細野は野音のリハにやってきて「And I Love Her」のアレンジに口出ししたのがHISのはじまりらしい。



公開レコーディング


2005年12月16日から18日の3日間、銀座博品館劇場で、『Sing with TORIRO 三木鶏郎と異才たち 』“ Pop-A-Doodle-Doo! ”
~日本のポップスの源流・三木鶏郎と、J-スタンダードの新しい夜明け~が開催された。

夜の公演には3日間細野が出演、最終日夜の最終公演には特別ゲストとして坂本冬美が出演している。
最終日、細野が「僕は特急の機関士で」を歌った後、「昔のバンド仲間です」と坂本冬美を紹介して呼びこみ。その後の二人のトークの中で、細野が坂本冬美に向かって、「2月に大阪城ホールでセーラー服を着るでしょ」との爆弾発言!HIS復活が具体的に進んでいることが発表された。
詳細は以下に詳しい。

http://www7.plala.or.jp/keeplistening/past2005.html

そこでの坂本冬美は和服姿で、コブシを回した「田舎のバス」を披露。
最後はみんなで「明るいナショナル」を大合唱。
以下に音源あり。

http://www.1101.com/toriro/index.html
https://www.1101.com/toriro/sound/part2_006-02.mp3

Sing with TORIROから
Sing with TORIROから


2006年2月25日、大坂城ホールで「 新・ナニワサリバンショー」が開催された。

HIS結成後、15年ぶりの初ライブである。
学生服とセーラー服姿が定番のHISであるが、坂本冬美は再度セーラー服を着ることになり、「年齢的にスカート丈は長めに」と希望したところ、スケバン的な雰囲気ができあがったとのこと。

演奏曲目は、
1.パープル・ヘイズ音頭
2.Oh My Love ラジオから愛のうた
3.500マイル
4.Pom Pom 蒸気
5.幸せハッピー

2006年4月15日、NHK BS2 にて当日のライブ映像として5曲中2曲(1と3)が放送された。

ナニワサリバンショーから

その後、2014年には「新・ナニワ・サリバンショー」が映画化されるとともにBD/DVDが発売された。
これまで映像が公開されてなかった、「幸せハッピー」「Oh,My Love~ラジオから愛のうた~」の2曲が入っている。

ナニワサリバンショーから
ナニワサリバンショーから
ナニワサリバンショーから


2006年3月16日にNHK「音楽・夢くらぶ」に出演、スタジオライブ

日の丸をイメージしたような白地に赤丸がデザインされたスタジオでのライブ。
ボーカリスト坂本冬美の歌唱はすばらしい。清志郎の500マイルも心に染み入ってくる。
いいなぁ!もったいないなぁ!このユニットでまたやってほしかった。

1.パープル・ヘイズ音頭
2.500マイル
3.幸せハッピー

ベース、ボーカル : 細野晴臣
ギター、ウクレレ、ボーカル : 忌野清志郎
ボーカル : 坂本冬美
ギター : 徳武弘文
ギター : 高野寛
アコーディオン : コシミハル(越美晴)
パーカッション : 浜口茂外也

夢くらぶから
夢くらぶから


1991年発行の季刊音楽誌エイチ・ツー H2 創刊0号(細野晴臣・責任編集)の「素晴らしきHISの世界」
忌野清志郎が描いたHISの大図解

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